鰻とわたし
うな重と肝吸い。
うな重を食べました。
このお店の鰻は焼き目がしっかりついていて、味もしっかり目だそうです。
確かに、焼き目が香ばしくて、食感もすごくふわふわよりは少ししっかりしているように感じました。
と言っても私は鰻の味については正直なところよく分かりません。
昔、職場のおじさんに、関東風のうなぎと関西風のうなぎの両方を出しているお店に連れて行ってもらったとき、食べ比べをしたことがありました。
そのときは「ふわふわとぐにゃぐにゃだ」と思った記憶があります。
が、その後は年に1回も鰻を食べる機会がないので、それぞれのお店が関東風なんだか関西風なんだか、味が濃いんだか薄いんだかもおぼろげです。
毎回美味しくいただいています。
今回もとっても美味しくいただきました。
たまの贅沢です。
わたしが鰻と出会ったのは、かれこれ10年近く前のことです。
旅行で初めて名古屋に行ったとき、同行者の誰かが「ひつまぶしが食べたい」と言い出して、みんなで食べに行きました。
わたしはそのときまで、鰻と言えば、土用の丑の日に母親がスーパーで買ってきたどこ産なんだかもよく分からない安物しか食べたことがありませんでした。
なので正直なところ、特段美味しいと思った記憶がありません。
「土用の丑の日の鰻は高い」ということは知っていたので、「高い割に大して美味しくもないもの」「季節の食べ物」という印象でした。
「ひつまぶしが食べたい」と誰かが言い出したときも、「ひつまぶし?なにそれ?」というくらいの認識で、鰻の料理だと聞いたときには、そんなに高いお金出して鰻か…とテンションは全く上がりませんでした。
もともと魚より断然お肉派なのです。
集団行動だから仕方ないよね、という気持ちで、何の気なしにみんなについて行っただけでした。
ところが、初めて本場のひつまぶし、ホンモノの鰻を食べたわたしは驚愕しました。
鰻って、こんなに美味しかったのかと。
香りも味もふわふわの食感も、薬味を足したときの味変も、お茶漬けにしたときのお出汁の美味しさも、何もかもに感動。
今まで食べたことあった鰻とまるで違って美味しい。
何より楽しい。食べ方が3種類もあるなんて楽しい。
名古屋のあつた蓬莱軒でした。とても混んでいて並びました。
鰻に対する期待が全くなかった分、より美味しい感動が大きかったんだろうなぁと思います。
その後、出張で名古屋に行くことがあったときには、空き時間で一人さっと松坂屋の上にある蓬莱軒で、またあのときのひつまぶしを食べました。
なんであんなに美味しいんでしょうね、ひつまぶしって。
今住んでいるところでも、何かの記念日とかお祝いのときなんかに、うなぎやさんに行くことがあります。
うな重も美味しいんですが、やっぱり好きなのはひつまぶし。
正直なところ、値段の割に、高級感をすごく感じるっていう食べ物ではないなぁとも思ったりもしますが…
それでもたまーに食べたくなります。
美味しい思い出って、いつまでも胸に残るのですよね。
今回食べたのはうな重ですけど、あのときの名古屋のひつまぶし本当に美味しかったなぁって、やっぱりふと思い出しました。